Nゲージ 切妻の開放ロネ(マロネ31) / 切妻のハネ【1】


K1803 切妻の開放ロネ(マロネ31) 組み立てキット  [\3,900+税]  【2022年12月発売】

昭和26年に形式図が作成されながら実現せずに終わった、半鋼製切妻で開放式寝台(ツーリスト式)の二等寝台車マロネ31を模型化。
本製品は、形式図通りの原形の形態を基本としていますが、二段雨樋有無と妻板の選択で、一般的な木製屋根と、鋼板屋根風を選べるほか、客室窓枠2種類、出入台開戸3種類、貫通扉2種類、便所・洗面所窓枠3〜4種類を選択可能なので、多様な形態で製作できます。
●本製品はハンダ付け推奨ですが、瞬間接着剤・ゴム系接着剤の併用でも組立てできます。


組立て例は、近代化改造後の想定です。
客室窓はHゴム支持の窓枠部品に取り換えていますが、この部品はHゴムの灰色と、アルミサッシの銀色に塗り分けるだけの簡易的な塗装でも違和感は少ないと思います。
床下の発電機や燃料タンクはGM製、冷房はKATO製20系客車のものを切り出して取付けています。

中央通路式の寝台車で床下冷房化の場合、通常は通路の天井に風洞を設けると思われるので、ベンチレーターは撤去したほうが自然にも思えますが、模型的にマロネ31の特徴を残す意味で残置しました。


本製品の内容です。(試作品のため、部品の配置は若干異なります)
煤除けの網戸も付属します。(内板の下 スロネ30に準じたものと想定)
デッキの構造は、オハ60や「南海のサハ4801」キットに似た構造としているので、扉を開けた状態での製作も可能です。


形式図通りのマロネ31(ロングシート状に寝台を配置したツーリスト式で、寝台長がマロネ29よりも長い)に適合するプラ内装パーツはないですが、プルマン式に改造された想定であれば、「K4014 大型ボックスシート」が座席間隔そのままでも取付可能です。
組立て例では、20系寝台車と同じように、床下冷房の右側から天井へのダクトを立ち上げている想定のため、大型ボックスシートを窓柱中心から少しずらして取付けました。
(この場合、前後の仕切の位置も、形式図とは少しずれることになります)

本製品に車内の仕切は付属しないですが、「K3913 客室端部仕切」の取付は可能です。(クリーム色の仕切)
また、形式図における客室の右側は、奥が給仕室と便所、手前側が喫煙室と洗面所(広窓の部分)となりますが、奥側の仕切は「K4001 展望車用シート・寝台」の寝台を2つ並べて、簡易的に表現してみました。(片方は短縮)


 ■別途購入品
【屋根・床板】
 K4029 切妻客車屋根セット (2輌分入)
 または K4033 切妻・丸屋根客車屋根セット (各1輌分入)
【床下機器】
 K4034 客車床下機器セット (2輌分入)
【ベンチレーター】  (8ヶ必要)
   K4037 ガラベンセット (40ヶ入)
【内装】
 形式図通りのツーリスト式の場合、適合する製品なし
 (プルマン式に改造と想定の場合は、『K3014 大型ボックスシート』)
【台車】 GM製<5003>TR47
【幌】  GM製<8612>貫通幌(客車・旧国型 グレー)
    または <8611>貫通幌(客車・旧国型 ブラック)
【窓セル】  透明プラ板、塩ビ板など

【インレタ】 
□形式  そのまま使用可能なものはないので切り貼り必要
 K3075 十和田・W寝台車インレタ  など (マロネ29 31やマニ31 28などを切り貼り) 
□窓下の標記類など[白](青帯に必要)
 K3065 等級標記他インレタ(白)
□窓下の標記類[黒](淡緑帯のみ必要)  
 K3073 等級標記・スニ41他インレタ(黒)  (実際は青文字なので代用)

(任意)
【屋根取付ネジ】 エコー製 B1421S ナベ頭 M1.4×2mm長 (20本入)
 入手困難な方にはキングス製ネジもご用意しました。
 →K3101 屋根取付ネジ(M1.4×2mmネジ(1種)) (10本入)


 戦後の新製二等寝台車は、昭和26年3月にスロネ30形が10輌製造された後、軽量構造のナロハネ10形、オロネ10形まで途絶えることになりましたが、昭和26年7月に英文表記の二等寝台車の形式図が、三等寝台車と併せて作成されていました。三等寝台車はスハネ40、二等寝台車はマロネ31と記載され、いずれも窓下に帯が記入され、洋式便所となっていることからも、朝鮮戦争に伴う米軍兵輸送用として計画されたものと思われます。
 このマロネ31形は、スロネ30形と似た片デッキ式の完全切妻の外観ですが、車内については、同形式の側通路式の区分室寝台から、戦前製のマロネ37形(→マロネ29)と同様のツーリスト式と呼ばれる中央通路式の開放寝台へと大きく変化しています。このため、定員はスロネ30形よりも4人減って、マロネ37形と同じ定員28人になりましたが、寝台長は125o長い1905oとなってスロネ30形や一等寝台車と同等となり、寝台幅はマロネ37形と同じでスロネ30形より100o広い700oとなっていました。寝台長が一等寝台車並となったため、スロネ30形よりも吹寄(窓柱)が太くなり、屋根の深さを除けばマイネ41形にも近い外観となりました。

 マロネ31形が実現していた場合、二等寝台車(昭和30年の一等寝台廃止後はCロネ)としては最も車内設備の充実した車輌となるので、兵員輸送から外れた後は優等列車で重用されたものと思われますが、米軍兵輸送用としてはマハネ37形などの簡易寝台車(車内にキャンバス貼りの寝台を設置) が用意されていたためか、マロネ31形は製造されずに終わりました。
 マロネ31形は、後に登場するオロネ10形と比較しても定員は同じで寝台長さも遜色がないので(寝室一区画の長さは1985oでオロネ10よりも15o長い)、製造されていれば、後に近代化改造でオロネ10並のBロネ(冷房付プルマン式寝台)となった……というような想像もできそうです。

 本製品の説明書には、組立例の図として、
「1.形式図に近い形態」(これが最も手軽に製作可能)
「2.近代化改造と床下冷房化を想定 (屋根は未改造)」
「3.同上 (鋼板屋根化、便洗所窓Hゴム支持)」
 以上の3種類を掲載しましたが、他にも、晩年まで非冷房で扉や便所・洗面所窓の更新のみ行なわれた姿や、屋根上に冷房取付した姿などとしても製作できるかと思います。





K1801 切妻のハネ【1】 (半鋼製切妻三等寝台車 寝台側狭窓・20m)  組み立てキット  [\3,400+税] 【2018年7月発売】
※従来のキングスホビー客車キットと異なり、台車のほか、屋根や床下機器などのパーツも別売となります。(別途購入品参照)

戦後、幾度か計画されながら実現せずに終わった、スハ43などに準じた半鋼製切妻の三等寝台車を模型化しました。


昭和29年に作成された、通路側広窓・寝台側狭窓・車長22mの形式図を元に、寝台1区画分を縮小した車長20mにアレンジしました。
通路側はスハ43やスロネ30に似た印象ですが、寝台側の窓配置は戦前のスハネ31に近く、両側面で全く窓配置が異なる姿は、ナハネ10などの軽量ハネに通ずるものがあります。
出入台隣の小窓の部分は給仕室ですが、ナハネ10と同じく非常に狭いので、この車両が製造されていたら、ナハネ10同様、給仕室の拡大要求が出たものと想像されます。


写真は組立の一例で、昭和40年代の冷房取付後(+緩急車化)を想定してみたものですが、下図のような、実際の形式図に近い状態などとしても製作可能です。





車内にプラ内装部品「K4005 10系客車用寝台」を取付けました。
上写真では、背ずり(中段寝台)とその上方の仕切が目立ち、寝台車らしさが増しています。

寝台間隔はナハネ10よりもわずかに狭いので、一つずつ切り離して取り付けています。



本キットの内容です。(他に、屋根固定ネジ3本も付属)
二段雨樋の有無と、妻板2種類(キャンバス押え有無)の選択で、木製屋根と、鋼板屋根風を選択可能です。(組立例は後者)
また、各種扉や便所・洗面所窓枠、テールライトなど、多彩なパーツが付属しますので、お好みの形態で自由に製作できます。
※実際には木製屋根(スハ43など)と、鋼板屋根(オハ46など)とでは屋根Rも異なるので、鋼板屋根風で組む場合、プラ屋根と妻板のRに差が生じます。
※二段雨樋の有無を選択可能としている関係で、鋼板屋根風として組む場合、オハ46の雨樋よりもやや太くなります。


●本製品はハンダ付け推奨ですが、瞬間接着剤・ゴム系接着剤の併用でも組立てできます。
●二段雨樋なしで製作する際、車体と屋根の間に隙間が出にくいよう、ネジ止め可能な構造しています。
 (既発売の「片上のホハフ2000」と同様の構造)
 また、車体外板と内板の貼り合わせの際の位置決めガイドを設けるなど、組み立てやすさにも配慮しています。
 (「片上のホハフ2000」「スロネ30」と同様)
●出入台開戸3種類を選択可能。
 (Hゴム支持窓、鋼製プレス、開閉窓付扉(2段窓/落とし窓))
●貫通扉4種類を選択可能。
●便所・洗面所窓枠3〜4種類を選択可能
 (原形木枠、2段窓、Hゴム支持窓(便所窓は2段窓と小窓の2種類))



別途購入品
【屋根・床板】
 K4029 切妻客車屋根セット (2輌分入)
      (「10系寝台車用送風機カバー」は10ヶ付属) 
 または K4033 切妻・丸屋根客車屋根セット (各1輌分入)
     (「10系寝台車用送風機カバー」は5ヶ付属) 
【床下機器】
 K4034 客車床下機器セット (2輌分入)
【ベンチレーター】 ※お好みのものを使用してください。
 K4037 ガラベンセット (ガラベン 40ヶ、10系寝台半ガラ 20ヶ、10系寝台冷房(AU14) 4ヶ入)
 K4022 10系寝台用半ガラ (36ヶ入)
 K4028 10系寝台用冷房(AU14) (10ヶ入)
【内装】
 K4004 10系客車用寝台 (4輌分入)
【台車】
 GM製 (5003) TR47 など
【幌】
 GM製 (8611) 貫通幌(客車・旧国型 ブラック) (10ヶ入)
【窓セル】 透明プラ板、塩ビ板など
【インレタ】
  □形式  ※そのまま使えるものはないので、スハネ30用などを切り貼りしてください。
   K3057 津軽用インレタ (スハネ30電暖2輌 窓下の「寝台」標記も含まれます)
   K3053 スユニ50・寝台車(マロネ40他)インレタ  (スハネ30 2輌+電暖2輌、スハネフ30 2輌)
   K3067 銀河(昭和35年)・10系客車他インレタ1 (スハネ30 2輌、オハネ17電暖1輌)
  □窓下の標記類など[白]
   K3065 等級標記他インレタ(白)


 戦後の三等寝台車は、予算の制約その他の事情から、昭和31年のナハネ10まで実現しなかったものの、それ以前にも幾度か計画はされていました。
 昭和25年には形式図が作成され、これは完全切妻・片デッキ・広窓(1000ミリ幅)と、同時期に設計されていたスロネ30を三等寝台にしたような外観で、戦前のスハネ31よりも一区画増やして定員60人となっていました。
 昭和26年には、米軍兵輸送用と思われる寝台車の形式図が作成され、三等寝台車は前年のものとほぼ同型で、こちらにはスハネ40と記載されていました。
 昭和29年に、再び三等寝台車の形式図が作成されましたが、従来より車長を2m伸ばした22m・定員66人とし、寝台側の窓は600ミリ幅の狭窓とされたため、この側は戦前のスハネ31に似た印象となり、窓配置的には、後に登場したナハネ10に近くなりました。また、出入台開戸はHゴム支持窓の扉となっているほか、雨樋が細く描かれ、自重35トンと車長のわりに軽いため、オハ46のように軽量化が図られていたとも思えます。
 実際の三等寝台車は、ナハ10に準じた軽量構造を採用したナハネ10として実現しましたが、ホーム有効長の関係で、20.5m・定員60人に落ち着きました。そうしたことから、軽量客車登場の前に三等寝台車が実現していたとしても、従来通りの20m、もしくは20.5mとなっていた可能性も考えられます。

 本製品は、そうした想定で、昭和29年の三等寝台車形式図を車長20mにアレンジ、昭和25年の形式図の寝台側を狭窓にしたものとも言えます。



未塗装組立例です。




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